『まあ、あんた七瀬くんと付き合ってからSNSにプリクラやらなんやら載せまくってるもんね〜』

『七瀬くんの許可取ってんの〜?』

『やっぱ彼氏がイケメンだとバズるよね〜!』

『きゃははっ!』


俺が近くまで歩いているのを気づかないまま、女子たちの会話は徐々に盛り上がっていく。


『…ってか、聞いてよ。3組の上村さんと前山ヤッたらしいよ』

『マジで!?…あ、だからこの前なんかしんどそうだったの!?前山はなんかツヤツヤだったし…!』

『え、それいつ!?いつ見たの!?』

『すっごい食いつくじゃん、ウケる』

『あんたは?七瀬くんとヤッてないの?』


彼女は少し間を置いて、『まだだけど…』と答える。


『てか、七瀬くんって童貞なの?』

『そりゃそうでしょ。あたしらまだ中学生だよ?』

『でも七瀬くんが童貞だとなんかエロいよね〜』

『七瀬くんの初めて奪えるじゃん、あんたラッキーだね〜』

『あはは、童貞いただきました〜!…的な?』


───ガシャンッ。


彼女の真後ろにちりとりを乱暴に置く。

辺りはしーん…と静まり、数人の女子たちから視線を浴びる。


『……ちりとり、ここ置いとくから』


俺は彼女を睨み、来た道を戻った。