結香さん、その発言は自分がドMの変態だって言ってるようなものですよ……。そう言いたいけど、苦しくてもう呼吸をするのだけで精一杯だ。これって何の拷問だろう。

意識がふわふわし始めた刹那、「姫から離れろ。この愚民が」と誰かが言い、結香さんの腕からようやく解放された。そして、ふらつく私を誰かが支えてくれる。

「あ、ありがとうございます……」

顔を上げれば、サファイアのブローチが胸元についたリボンタイの豪華な貴族の衣装を着た華やかな顔立ちの男性がいた。少し長い金髪をまとめ、青い瞳で私を見つめている。

「姫を助けることができてよかった。僕はコウノトリ。仲良くしてね」

「えっ？コウノトリ？」

私の頭に浮かんだのは、赤ちゃんを運んでくると言われている鳥の姿。そして、地元にいた頃にお母さんと涙を流しながら見た産婦人科医のドラマだ。

こんな名前の人が本当にいるのかしら？私が首を傾げていると、「俺の方も見なよ」と腕を引かれる。ピアスをいくつかつけ、赤い髪をしたちょっとチャラそうな雰囲気の男性に抱き寄せられた。服、めちゃくちゃはだけていて目のやり場に困る。