「つ、捕まるなんて嫌!私は誰のものにもならない!」

私はそう言い、彼らに背を向けて走り出す。すると彼らも「待ってよ」と言いながら追いかけてくるのだ。

全員、顔はモデルや俳優のように華やかで、こんな人たちから追われているなんて、全国の女子に恨まれそうな状況だ。でも、こんな面倒臭い人たちに捕まるのだけは絶対に嫌!

「あの時、結香さんの呼び出しを無視してればよかったんだ……!」

遡ること、数時間前ーーー。



講義の授業が終わり、私はやっと終わったとグッと体を伸ばす。大学の授業は基本的には楽しいし、自分の将来の夢を掴むためにも大切なんだけど、やっぱり教授の好き嫌いはあるよね。この講義の教授、話がやたら長いから疲れるんだ……。

大学一年生の秋、地元から上京して半年ほど経った。都会での生活にも慣れ、バイトに勉強、友達付き合いにサークルと忙しい日々だ。

「きっと働き出したらもっと大変なんだろうなぁ」