「ごめんなさい、急には選べないです。知り合った間もないし、それに何より私たちは人間と拷問器具で、普通の恋愛が出来るとは思えない。だから、ごめんなさい」

私が頭を下げると、「どうして!?」とか「絶対に幸せにするから!」とか声が聞こえてくる。でも、やっぱり恋愛をするなら普通の人間がいいよ。

「なら、鬼ごっこで勝負を決めたら?」

「はい?」

結香さんの言葉に、私を含め全員が結香さんを見つめる。結香さんは、ニコニコ楽しそうに時計を指差しながら言った。

「舞ちゃんは五人の中から選びたくない。でも、五人は舞ちゃんを手に入れたい。それなら、鬼ごっこで勝負して決めた方が早いと思うんだよね。舞ちゃんが陽が沈むまで逃げ切れたら、舞ちゃんは誰のものにもならない。でも、誰かが舞ちゃんを捕まえたら舞ちゃんはその人のものになる。どう?」

いや、あなた何を仰ってるんですか?そんな方法で自分の人生を大きく変えるような賭けをするなんて……、と言おうとしたけど五人の目はまるで野生の猛獣のようにぎらつかせていた。