「ハアッ……ハアッ……」

私、千田舞(せんだまい)は荒くなった呼吸を整えながらその場に崩れ落ちていた。ずっと全速力で走っていたため、息がなかなか元に戻らず、足が痛い。

大学一年生にもなって、校内で鬼ごっこをするなんて想像もしてなかった。鬼ごっこをすることになったのは、あの同じサークルの安西結香(あんざいゆか)さんのせいだ。

「何で私がこんなこと……。今頃、家に帰って録画したドラマを見てたはずなのに!」

私がそう言うと、「それはしょうがないんじゃない?」と明るい声が聞こえてくる。振り向けば、耳にピアスをいくつかつけ、服を着崩した男性の姿があった。そして、その男性の後ろから、四人の男性が走ってくる。

「やっと見つけた!」

「すぐに捕まえるので覚悟してくださいね?」

「君は私のもの」

「愛してるよ、だから僕に捕まってくれる?」

私と同じ速度で走っていたというのに、彼らは息一つ乱れていない。人間ではないから当然か。って感心してる場合じゃない!