彼の首にはいつも赤いそれがある。


「つけてもいい?」


「うん、いいよ」


それは、彼が私の彼であるという印。


それは、彼には私がいるという印。


「なんでいつもつけるの?」


「……愛してるから」


彼の質問には決まってそう言った。


愛してるから。


取られたくないから。


ほかの女の子に目を向けないでほしいから。


そう言えばいいのに、言葉にはできない。


だって重いじゃん。


言葉にしたら彼が離れていく。


私はちゃんと分かってるんだよ。