「沙奈…?」
「大翔先生…」
そっか…
あまりの気持ちの良さに眠っていたのかな…
意識を一時的に失っていたのかな?
「沙奈、寒くないか?」
「先生の白衣、羽織らせてくれたんだね。」
先生の匂いと白衣の温かさが安心できる。
「嬉しそうだな。」
「大翔先生のだから。」
白衣を抱きしめるように、襟元を握りしめた。
「それは嬉しいな。
それに、沙奈細いのに魅力的な身体つきなんて…」
大翔先生のストレートすぎる言葉に、恥ずかしい気持ちが混みあげ思わず布団の中へ身体を隠した。
「やめてよ…」
「ごめんごめん。
沙奈、そろそろ着替えな。
もうすぐ、紫苑や翔太が迎えに来ると思うから。」
時計に目をやると、診察の終わる時間になっていた。
窓の外も、いつの間にか薄暗くなっていた。
「そうだね、そろそろ帰る支度しないと…」
退院は嬉しいけど、こうやって毎日大翔先生に会えることも無くなっちゃうんだよね…
今回の入院期間は、いつもよりも長かったから余計に寂しさを感じる。
ずっと、大翔先生の傍にいられたらいいのに…
そんなこと言ったら、大翔先生は迷惑に思うかな?
「相変わらず、私服がオシャレだな。」
帰るために紫苑が持ってきてくれたワンピースをみて優しく私を自分の元へ抱き寄せた。
「紫苑や翔太がいないとお洋服は買えないの。
私がオシャレって言うより、2人がオシャレなんだよ。」
「でも、選んで2人に聞いているのは沙奈だろう?」
「そうだけど…
高校生なのに、1人で選んで買えないなんて…恥ずかしいよ…」
自分1人で買い物に行った暁には、頭がクラクラしてくると思う。
悩みすぎて、頭の中も酸欠状態になりそう。
「沙奈は、一生懸命なんだよな。
今度からは、俺も一緒に連れて行ってよ。
沙奈の買い物に付き合いたい。」
「いいの?」
「ああ。もちろん。
じゃあ、退院したら一緒にデートしようか。
沙奈の気持ちも分かったし、今度から少し気楽に沙奈をお出かけに誘えそうだ。」
「ありがとう、大翔先生。」
退院しても、大翔先生と会えるなら退院しても寂しくないよね。
離れている時間が長くなっても、2人の距離は変わることなんてない。
いつも、離れていても大翔先生はずっと心の中で寄り添ってくれている気がする。
そう思えたのもきっと、気持ちを確かめ合う事が出来たからかな?
「沙奈、帰ろうか。
大翔、本当にありがとうな。
沙奈を救ってくれて。」
「紫苑や翔太もいたから、沙奈を救えたんだよ。
退院してからも、定期的に沙奈の様子を見に行ってもいいかな?
沙奈の退院は嬉しいけど、あれだけそばにいたい沙奈がいなくなるって考えると寂しいんだ…
気持ちはそばにいるけど、沙奈の顔できるだけ見たいから。」
「もちろんだ。いいよな、沙奈。」
「うん。」
「沙奈も、大翔先輩に気持ち話すことが出来たんだな。
なんか、顔がスッキリしてる。」
私の表情を見て、翔太は笑顔でそう話した。
「うん。ちゃんと話せたよ。
自分の気持ちから逃げずに。」
「良かった。」
紫苑も、安心したかのように笑顔になり私の頭を撫でてくれた。
それから、私は紫苑に抱かれ車に乗せられていた。
暗い夜道を走りながら、私は眠りに落ちていた。


