「沙奈、俺は沙奈を信じてるよ。
どんな沙奈でも、変わらない。
俺は、沙奈を裏切ったりしない。
言葉だけでなく、これからも態度で示すから。」
「どうして?
大翔先生は、私の主治医で紫苑と仲良しだから私に優しくしてくれてるんですよね?
先生が、余計な負担を背負わなくても…」
「沙奈がたまらなく好きだからに決まってるだろう?
例え紫苑と仲良くても、沙奈でなければこんなことはしてない。
勝手に抱きしめたりなんてしない。
出会った時からずっと沙奈が好きだ。」
夜風に吹かれ、月夜に輝く君の表情は息を呑んでしまうほど綺麗だった。
大袈裟に捉えられるかもしれないけど、俺にとってはこの世にこんなに美しい人が存在するのかと本気で思う。
容姿だけでなく、沙奈の純白な心や曇りのない真っ直ぐ見つめる綺麗な瞳が魅力的だった。
瞳は心を映す鏡と言われているから尚更分かる。
それに、きめ細かい白く綺麗な肌も。
全て自分のものにしたかった。
「大翔先生…」
「ん?」
「私…」
「今すぐに、答えを出さなくていいよ。
沙奈の心が答えてくれるまで待つつもりだから。」
本当は、こんなタイミングで言う物ではないよな。
俺の想像以上に、恋愛に対する沙奈は鈍感なのかもしれない。
人の気持ちには敏感なのにな。
あんな風に聞かれたら、自分の気持ちを正直に言うしかないだろう。
女性や恋愛に対して、興味なんてなかった。
俺自身も、誰かをこんなにも好きになったことはなかった。
自分の身を捧げてもいいなんて思ったこともなかった。
俺に近寄って来る人は、一目惚れやらお金や地位目的だったから。
そんな日々だったから、本気で心の距離を縮めたいなんて思ったことがなかった。
まさか、12歳も歳下の女性をこんなにも好きになるとは思わなかった。
沙奈に触れる度、早くなる心臓の鼓動。
胸が締め付けられ、思わず息をするのも忘れるくらい沙奈に夢中になっていた。
「沙奈?」
規則正しい寝息に、思わず抱きしめていた沙奈に目をやった。
腕の中でぐったりと眠る沙奈。
事切れたかのようにいつも途端に眠ってしまう沙奈。
いつも、大人びているから子供のような一面を見る度に心が大きく揺れる。
沙奈を抱きしめながら、沙奈の病室へ向かいベッドへと寝かせてから近くにあるソファーに横になった。


