聖堂館学園は幼稚園から高等部までの一貫教育だ。
中学までは、皆、幼馴染の延長で過ごしているが、高等部からは違う。突然カップルが沢山出来始める。殆どの場合、高1でカップルになると、結婚までいくというのが、学園の王道パターンだった。
もちろん俺も、ここではっきりさせないといけない事はわかっていた。
だから俺が告白したのは、高等部の入学式の日。先手必勝だ。

「ミイ、わかってると思うけど、俺はミイが好きだ。ずーっとミイだけが好きだ。
だから今日から付き合って?」

「優⁉︎ 」

「返事は? 俺のこと好き?」

「う、うん…。えーと…好き、だよ?」

「(ホッ)…良かった。じゃあ今日から彼氏と彼女な?」

「…はい。え? 私達、付き合うの⁇」

「当たり前だろ?」

出遅れたら争奪戦なのは目に見えてる。
ここで納得させないと。

「俺は美衣子がそばにいてくれたら、ピアノ、頑張れるんだ。だからずっとそばに居てくれないと困る。」

「本当? わかった!
んー、でも……」

でも?

「付き合うって、今とどう違うの⁇
だってさ、いつも一緒にいるじゃない? 
私達。」

「…確かにそうなんだけどさ。
………例えば、こういう事。」

そう言って、俺は美衣子に触れるだけのキスをした。