「い、や、違う…違うよ?
公親くんには、幼稚園のホームページを手伝ってもらってたの。」

「付き合ってない?」

「…うん…。」

「誰とも?」

「……」

「答えて。」

どうしよう…。
なんの心の準備も出来ていないのに…。
ここで答えたら、今までの堪えてきたものが意味をなくす。きっとここからまた始まってしまう。

私、もう大丈夫なの? 手術をしたとはいえ、不安要素はまだまだ残ってる。経過観察も、この騒ぎで全く出来ていない。
どうしよう…。

「ミイ」

“ミイ”と呼ぶのは優だけ。
一気に感情が押し寄せる。

「やめて……ミイって、呼ばないで…
私、心の準備が出来てないの。まだ、自信がないの。」

「自信? 自信ってなんだよ。
俺は、突然別れを告げられた。
一切の連絡も断ち切られて。
気になる人ってなんだ? 本当はそんな奴いないんだろ? 突然別れを切り出したのは何故だ? 俺がイヤになった? なんの約束もせずに、NYに行こうとした俺に嫌気がさした?」

「ち、ちが…」

「ずっと考えてた。わからなくて。
昇ちゃんに連絡したんだ。美衣子に連絡つかないから。めちゃくちゃ怒られたよ。俺の妹をなんだと思ってるんだ!って。
ズルズルと、ただ待たせるつもりだったのかって。」

「昇ちゃんが?」

それは初めて聞いた。
まさか連絡を取ってたなんて…。

「俺、距離が離れても美衣子と関係が変わるなんて考えてもみなかった。
美衣子にフラれて、昇ちゃんに怒られて、どんだけ甘ったれてたんだって猛烈に反省した。
美衣子に甘えきってた。
……ごめん。今まで本当にごめん。
俺、美衣子しか愛せない。
欲しいのは美衣子だけなんだ。
美衣子との未来、ちゃんと考えてるから。
だから…」