「眠れないの?」 「どうして?」 「眠れないとき、いつも私の前髪を触っているでしょう?」 「そう、だっけ」 彼女に言われて気づいた。多分、本当に無意識なのだ。というか、そのことを知っているということは彼女はその時、起きていたということになる。 「寝たふりしてたの?」 「うん。触られるのが、心地良かったから」 彼女の笑みがいつもよりも柔らかかった。 思わず涙が出そうになるくらいに。