『止めて!!それ以上…言わないで』


私は、両手で耳を塞いた。


『止めろよ、柊。本当に止めてくれ』


『樹まで…何で?』


『柊…お前の感覚は…おかしいんだ。人とは違う…ずっと治してあげたかったけど、でも、言えなかった。柚葉と結婚するって聞いて、やっと1人の人を愛せるようになったのかって…俺は…2人のこと…祝福しようとしてた。なのに…まだ…』


『僕が、まるで病気みたいな言い方するんだね…樹は』


『樹さんを責めるのは止めて。柊君、とにかく結婚は取り止めて下さい。そして、私と…別れて。お願い…』


私は、深く頭を下げた。


『…柚葉…』


柊君の目が潤んで来た…


でも…


私は、この人と一緒にいたら、絶対ダメになる。


だから…今、ちゃんと言わなきゃ。


『今まで、ありがとう。柊君…さよなら』


私は柊君にそう言って、社長室を出た。


後ろは振り向かずに、ただ、前を見て…