私は、足早にマンションに向かった。


きっと、大丈夫。


いろいろあっても上手くいくよ。


柊君のおかげで、そう思えた。


マンションに着いて、ドアに鍵を差し込んで部屋に入ろうとした。


え!?


その瞬間、誰かに背中を押されて、私は部屋の中に倒れ込んだ。


倒れながら振り向くと、そこには、帰ったはずの佐藤君がいた。


嘘!!


中に入られた…


どうしよう、すごく怖い。


佐藤君の鋭い視線に、私は身動きが取れなかった。


さっきまでの安心感が消えて、一気に暗闇に突き落とされた気がした。


『どうして…?佐藤君、なんでこんなことするの?』


『お前さ、あの超有名なIT企業のIS(アイエス)の社長と結婚するんだってな』


『え…?どうしてそんなこと?』


私は、震えながらも、廊下に手をついてゆっくり立ち上がった。