どうして俺に?って思うと、いても立ってもいられなくなって…


ある時、俺は彼女に言ってみた。


「お弁当、ありがとう。美味しかったよ」


と。


「本当に?嬉しい!明日も頑張って作らなきゃ」


嬉しそうに笑う彼女。


「どうしてお弁当作ってくれるの?」


「何言ってるの?仕事したらお腹すくでしょ?工事現場って力仕事でしょ?お昼ご飯しっかり食べなきゃ」


「そうだよね。でも…ここは工事現場じゃないよ」


「え?…そう…なの?」


首を傾げる彼女。


「このお弁当、誰にあげたいの?」


「誰って…あなたよ。前田君」


前田…


やっぱり…


この人は、誰かと俺を重ねているんだ…


「工事現場で働く前田さん?あなたの…大切な人?」


彼女は、少しだけ…


黙っていた。


そして…言った。


「そう、この世の中で1番大切な人…あなたは、私の大好きな旦那さま。お仕事、頑張ってる前田君のために毎日お弁当作るのが楽しみで…」