『…そっちこそ、ホストに…ホストにハマってたじゃないか』


『それは、あなたに振り向いてもらうための嘘…ホスト通いなんて…私の性にあわない。そんなことも気づかなかったんだね。あなたは他の女の人にしか興味がない。だから私…でも、結局、何も変わらなかった』


妻の顔は、死人のように暗かった。


初めて会った時は、こんな女じゃなかった…


綺麗で色っぽくて…


こんな風にしたのは、俺なのか?


俺のせいで明美は…


『今日、一緒にここで過ごしたら、もう…離婚しましょう。結婚もしてないけど…ケジメをつけたいから、離婚届も書いて来たの』


悲しく微笑む妻。


『そ、そんなこと急に言うなよ』


『急なんかじゃないわ。ずっと…考えてたこと。それをたまたま今、実行するだけ』


『いや、でも、そんなこと、お前は…』


『だから、お前じゃないんだってば!…もう…いい加減にしてよ…私の…たった1度しかない人生に、もうあなたは要らないの…』


明美…


今さら名前で呼んでも、もう遅いのか…