『柊…まさか、まだ柚葉を?』


樹が聞く。


『ああ、もちろん。嫌いになる理由がない。でも、柚葉を樹から奪おうなんて、そんなこと、1ミリも思ってないから安心して』


『柊君…』


まだ私を想ってくれてるなんて…


女としては、とっくに柊君の心の中から消えてると思ってたのに。


でも…柊君の笑顔にかげりは無かった。


『柚葉。樹と幸せそうで本当に良かったよ。本当、樹みたいに良い奴はいないからね。一生連れ添って仲良くして。他の奴なら嫌だけど、樹なら…安心して柚葉を…』


そう言って、柊君はワインを飲み干した。


『柊。柚葉は、俺が責任持って幸せにする。お前の想いの分も。それから、俺は…柊にも幸せでいてもらいたい。そうじゃないと…悲しい。俺だけが幸せなんて…嫌だからな』


樹は、真剣な表情をした。


兄弟として、本当に大切に思ってる証拠だね。


私もだよ、樹と同じ気持ち。