樹は、ほんの一瞬黙って、そして続けた。


『俺の奥さんになってくれ』


え?


まさか…


そんな話が出るとは思ってもみなかったよ…


まだお付き合いの返事もしてなかったのに…


『…私…』


『まだ柊のこと、好きなのか?』


『…完全に忘れたかって言われたら…まだ…でも…私ね、樹に言ってないことあるんだ』


『何?聞きたい』


そう言った樹の声に、妙に色気を感じた。


樹の瞳…綺麗過ぎるよ。


唇も、鼻も、髪型も…輪郭も…


全部、全部、美し過ぎる。


『…私…樹が好き』


見つめあう時間の分だけ、愛おしさが募る。


一緒に住まなかったら、私はこの気持ちに気づかなかったのかも知れない。


強引だったけど、今は…


樹に感謝したい。


『柚葉…本当に?嬉しい…俺も好きだ』


その言葉の後に…


あなたはまた…優しいキスをくれた。


樹の深い愛情を感じる。


私、今…とても幸せだよ…