『ルームシェアとか言われても、やっぱり、私…男性と一緒に住むとか初めてだし、緊張しちゃうから…それに、今の私のマンションのこともあるし、急には無理だよ』


『柚葉のマンションの家賃も俺が払う。そんなことは心配するな』


『そんなこと…』


『さっき嬉しかった。例え芝居でも、柚葉が俺と結婚するって言ってくれて。お前の気持ちがまだ定まらないのはわかってる。急がせるつもりもない。ただ…今は俺の側にいてくれ』


樹は、目の前のグラスに注がれたお水を一気に飲み干した。


『とりあえず出よう』


そう言って、私の手を掴んでラウンジを出て駐車場に向かった。


車に乗ってしばらく走った。


『柚葉。明日の夜、仕事が終わったら迎えに行く。しばらくの荷物だけでいいから、まとめておいてくれ』


『でも私』


『必ず、迎えに行くから』