樹さん、この場所をわざわざ探してくれた?


私のために?


昔、彼女と来たとかじゃないんだ…


こんな素敵な場所、本当によく見つかったなって感激する。


『まず、腹ごしらえ』


そう言って、後ろのシートに置いてあるボックスから何か取り出して、私に渡してくれた。


『少し冷めてるけど』


ハンバーガーだ。


触るとまだ温かい。


『悪いな、こんなもんで』


『いえ、とんでもないです。すごく美味しそうです』


樹さん、さっきフロアに遅れて来たのは、これを買いに行ってくれてたからなんだ…


嬉しい…


ただ、素直に嬉しかった。


『普通なら、高級レストランで食事とかなんだろうけど…俺はこういう方が好きだから』


『私もハンバーガー大好きですよ。それに温かくて嬉しいです。これ、保温ケースですか?』


『ああ、昨日買った』


ハンバーガーを食べながら、樹さんが言った。