それが…


一瞬にして崩れてしまった。


こんなことになるなんて…


『柚葉…』


その声にハッとした。


樹さんが呼ぶ声で、柊君の顔が一気に私の頭の中から消えた。


『あ…すみません…』


少しの沈黙。


『確かに…お前は…美人じゃない』


『え?樹さん、まだ言うんですか?ちょっと…ひどくないですか』


半分、冗談っぽく笑いながら…


でも、半分は…


リアルに落ち込んだ。


仕方ないじゃない、これが私なんだから。


自分でもわかってるのに…


『でも…可愛い』


え…?


樹さん?


今、なんて…?


私は、それ以上動けなくなった。


樹さんは、私から5歩分離れて立ち止まった。


そして、振り返った。


『柚葉は…可愛い。だから、もっと自信を持つべきだ』


落ち込んだところに、とんでない変化球が飛び込んで来た。


そんなにじっと見つめながら言わないでよ…


心臓がバクバクして、口から出て来そうだ。


お願い…


樹さん、目をそらせて…


私、吸い込まれそうだよ…


瞬きさえも出来ない。


『…行くぞ』