私達は、ひとけの無い道をまたゆっくり歩き出した。


『柚葉が抱きついたんじゃないだろ』


真っ直ぐ前を向いてそう言った樹さんの横顔は…


やっぱり、柊君と同じだった。


でも、私は…その横顔に、樹さんの深い優しさを感じずにはいられなかったんだ。


『俺が…お前を…抱きしめたかった』


『え…』


『つらそうな柚葉のこと…放っておけないだろ』


樹さん…


私の顔を見ないんだね…


『優しいんですね。樹さんは…』


『そんなこと…ない。どうしたら柚葉が元気になるのか…俺にはわからない』


樹さんが、申し訳なさそうに言った。


『私、今日はすごく楽しかったです。ボーリングしたり、ラーメン食べたり。本当に元気になりました。嬉しかったです、すごく』


『…柚葉がそう言うなら…まあ、良かった』


『はい、本当に楽しかったです。でも…』


『ん?』