じゃあ、おれと一緒にいてよ。~5年ぶりに会った幼なじみが美少年になってました~

 一般文芸の売り場で、一冊の本を手に取ると、透くんは幸せそうな表情を浮かべた。昨日、わたしが薦めた短編集。色鉛筆で優しいタッチで描かれた表紙が印象的な一冊。

 「よかったあ、あったあ……!」

 「そんなに?」

 「紫乃ちゃんが教えてくれた本だよ? 絶対欲しいよ。家に帰ってる時間も惜しくて、そのために財布持ってきちゃったんだもん」

 「そんなにかなあ……。まあ、内容は保証するよ。どれもいいお話だよ」

 「へええ」

 楽しみ、と言う笑顔が、お気に入りのおもちゃを抱えている小さな子供のようでまぶしい。