一般文芸の売り場で、一冊の本を手に取ると、透くんは幸せそうな表情を浮かべた。昨日、わたしが薦めた短編集。色鉛筆で優しいタッチで描かれた表紙が印象的な一冊。
「よかったあ、あったあ……!」
「そんなに?」
「紫乃ちゃんが教えてくれた本だよ? 絶対欲しいよ。家に帰ってる時間も惜しくて、そのために財布持ってきちゃったんだもん」
「そんなにかなあ……。まあ、内容は保証するよ。どれもいいお話だよ」
「へええ」
楽しみ、と言う笑顔が、お気に入りのおもちゃを抱えている小さな子供のようでまぶしい。
「よかったあ、あったあ……!」
「そんなに?」
「紫乃ちゃんが教えてくれた本だよ? 絶対欲しいよ。家に帰ってる時間も惜しくて、そのために財布持ってきちゃったんだもん」
「そんなにかなあ……。まあ、内容は保証するよ。どれもいいお話だよ」
「へええ」
楽しみ、と言う笑顔が、お気に入りのおもちゃを抱えている小さな子供のようでまぶしい。



