芯を選んだあと、しばらく文房具を眺めて、紫乃ちゃんは、「このあとなにかある?」とおれを見た。「なにもないよ」と答えると、「少し本も見ていこうかな」と言う。
また少し、紫乃ちゃんといられる時間が増えた。今日は最高にいい日だ。……だめだ、笑ってしまう。耐えろ耐えろ、と自分に言い聞かせていると、「それはどういう表情なの?」と紫乃ちゃんが笑った。
「紫乃ちゃんと一緒にいられるから」と、無意識に答えていた。
「なにそれ、本当に変な人」と紫乃ちゃんは笑うけれど、本当にそれが幸せなんだ。ずっと、手を伸ばすこともできない人だったから。そんな人が、今、すぐ隣にいて、話までしている。内容なんて深いものはないけれど、紫乃ちゃんの声を聞いて、それに返したおれの声に、また紫乃ちゃんが声を発してくれるという、それだけで、天にまで昇りそうなくらいの幸せを、おれは感じることができる。――間瀬くんには、感謝しなければいけないみたいだ。
また少し、紫乃ちゃんといられる時間が増えた。今日は最高にいい日だ。……だめだ、笑ってしまう。耐えろ耐えろ、と自分に言い聞かせていると、「それはどういう表情なの?」と紫乃ちゃんが笑った。
「紫乃ちゃんと一緒にいられるから」と、無意識に答えていた。
「なにそれ、本当に変な人」と紫乃ちゃんは笑うけれど、本当にそれが幸せなんだ。ずっと、手を伸ばすこともできない人だったから。そんな人が、今、すぐ隣にいて、話までしている。内容なんて深いものはないけれど、紫乃ちゃんの声を聞いて、それに返したおれの声に、また紫乃ちゃんが声を発してくれるという、それだけで、天にまで昇りそうなくらいの幸せを、おれは感じることができる。――間瀬くんには、感謝しなければいけないみたいだ。



