得点版は、わたしたちが十六点、椎名さんたちが十三点であることを伝えている。得点版が視界に入る度に、胸がどきどきと騒ぐ。椎名さんたちと戦ってここまでリードしたのは初めてだった。

一点リードしたかと思えばすぐに追いつかれ、追い越され、なんとか追いついたと思っても、こちらの点が上回ることのないまま、気が付けばゲーム終了、なんていうのがお約束だった。

けれど今回は違う。絶対に負けたくない。ここから一点も取られないまま、二十一点まで駆け上がりたい。

 鶴見さんがシャトルを飛ばして、次のラリーが始まった。野田さんがすぐにこちらにまで飛ばしてきた。ビュンビュン飛んでくる“白”を、相手の動きづらい場所を狙ってひたすら打ち返す。けれど、何度も何度も戻ってくる。

コートを飛び出さない限り、返さなくては点を取られてしまうのだから当然なのだけれど、戻ってくる度に心拍数が上がる。左手に握っているラケットのグリップが手汗でびしょびしょになっていて、気持ち悪い。

 勢いよく返ってきたのを、鶴見さんが目の前で打ち返した。ふわりと掬い上げるように返ってきたのを、また鶴見さんが返す。鶴見さんの出番が続きそうだったので、わたしはくるくるとラケットを回した。手にしっくりくる場所を探す。

 ふとシャトルが大きく飛んできて、わたしはぴしゃりと強く打ち返した。とっさの判断だったので、まさに“コントロールガン無視”の一発だったけれど、シャトルはいい場所に飛んで行って、向こうのコートに落ちた。

 「アキちゃんすごい!」と鶴見さんが振り返る。