不安が波のように襲い掛かり。

 大好きな人を失う怖さで、
 何も考えずに
 心美の教室に行ってしまった俺。



「綺月君だ」

「うちのクラスに用?」


 群がる女子たちを無視して、
 俺は、自分の席に座る心美を
 見つめたけれど。


 後ろめたいことを隠すように
 心美は俺から、フッと視線を外した。





 何、今の態度?

 斎藤との密会のウワサは
 本当ってことかよ?



 俺に言いたいことが
 あるんじゃねぇの?


 俺に、謝ることが
 あるんじゃねぇの?