綺月君は学校で
 たくさんの女子に囲まれていて

 私も綺月君の傍にいたいなって
 寂しくなることはあるよ。


 でも……


 綺月君のためなら、それくらい我慢する。


 『世界中の人をゾクゾクさせるアイドルになる』
 という夢を、
 全力で応援したいって思っているから。




 ただ…… 私は……

『人を無視する』ことは
 したくないだけなんです。




「綺月君、聞いて」


「ムリ」


「どうしても、
 綺月君にわかって欲しいことがあって……」


「だから、ムリって言ってるじゃん」


 なんで、そこまで拒むの?


「今は何を聞いても、
 オマエのことを攻撃しそうだから」



 
 険しい顔で、
 私と目すら合わせない綺月君は。


「午後の授業、もうすぐ始まるぞ」


 床を這うような低い声を残し、
 資料室から出て行った。