蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集



「えっと……雪那ちゃんのドレスで……
 千柳さんが……、違う違う。天音君が……」


「心美、説明へた過ぎ」


 フッと鼻で笑った綺月君に安心して、
 私の心が、ふわっと軽くなった。




「雪那のドレスの参考に、資料室に来たんだろ?」


「でも……全然ダメだった」


「は?」


「世界のドレスを見れば見るほど、
 どれが一番、雪那ちゃんの魅力を引き出せるの
 かわからなくて」



「ゼロから作り上げるって、難しいよな」


「でも綺月君は、
 バージンロードを歩く二人のためのピアノ曲、
 もう出来上がったんでしょ?」


「なんとかな。
 千柳からのダメ出し、半端なかったけど」




「アイツ、雪那のこととなると人が変わるから」
 と、ぼやきを入れた綺月君。


 私を慰めるように
 大きな手の平で、私の頭を撫でてくれた。