「早く、資料室に行ってきなよ。
 教室にいる綺月君ファンは、
 僕が引き止めてあげるから」


「どうやって?」


「この前の手品のレッスンで、
 綺月君が失敗した映像の鑑賞会を開いて……」


「天音だって、大失敗ばっかだったじゃん」


「僕に、手品ができるわけないでしょ!」


「そういうところ、俺ら似てるよな」


「僕と綺月君が似てるところなんて、
 一個もないからね!」



 俺の背中をボコスカ叩いて、
 天音は教室に戻っていったけど。



『オマエがゾルックのメンバーで、
 本当に良かったって思ってるよ』


 本人には恥ずかしくて言えない心の声を、
 天音の背中にこっそりぶつけ。


 俺は、学園内のファンを交わし交わし。

 なんとか、資料室の前までたどり着いた。