「今度のゾルックライブのことで、
綺月君に確認したいことがあって」
「天音、なんだよ。確認したいことって?」
「こんなところで話したら、
『秘密事項をもらすな!』って
マネージャーに怒られちゃうでしょ」
うちのマネージャー。
美人なわりに、
怒りが噴火すると、すげー怖いからな。
「だからみんな。このクラスのベランダを、
僕と綺月君の二人だけで、占領してもいい?」
王子様が姫だけに微笑む顔を、瞬時に作り。
首をかしげながら、ニコっ。
天音の笑顔……
ある意味、すげー!!
そんな笑顔を向けられ、
拒否する乙女がいるはずもなく。
「どうぞ!どうぞ!」と
瞳をとろけさせながら、
女子たちが俺を差し出すしまつ。
結果。
静かな世界に避難できて、
天音には感謝してるけど。
天音の笑顔って、
乙女心の溶解度、半端ないな。
アイドルとして、
自分が天音に負けた気がしてイラッ。
でも。
ベランダを通り抜ける秋の風が温かくて
俺のイライラをぬぐっい去ってくれた。



