蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集




 ソファに座る千柳様から
 差し出された手のひら。


 そっと私の手を重ねた瞬間
 優しく引き寄せられた。



 千柳様の隣に座り。

 お互いの手の平だけが
 大好きな温もりを感じている。



「雪那を抱きしめられないから、
 俺の隣にいて」


「……はい」


 頷いてはみたけれど。

 物足りなさを感じてしまう
 自分がいる。




 千柳様。

 隣り合う肩が触れるくらいなら
 いいですか?



 お互いの肩は近いのに。

 一枚の紙に隔たれているように
 離れた状態。



 もどかしくて。

 もっともっと、千柳様を感じたくて。

 欲張りな私は、千柳様を見上げてみた。



「どうしたの?雪那?」



 優しく揺れる千柳様の瞳に見つめられ、
 絡んだ視線を外せない。