「千柳様、あの卵焼きは??」
コンロ横に置かれたお皿を指さし、
首をかしげてみる。
その瞬間……
千柳様が私から離れ。
離れに離れ。
えぇぇぇぇぇ???
ドアを開け
キッチンから、出て行ってしまった。
いきなり、どうしたのですか?
予想外過ぎて
リビングに行ってしまった
千柳様の行動の意味が
全くわからないのですが……
私は、どうするのが正解ですか?
キッチンで
待っていればいいのですか?
それとも、
千柳様を追いかけた方が、嬉しいですか?
考えてもわからなくて。
間違えたくも、嫌われたくもなくて。
椅子に座って、千柳様が出て行ったドアを
見つめることしかできない私。
その時。
ゆっくり、ゆっく~りとドアが開き。
三分の一だけ空いたドアから、
オロオロと千柳様が顔を出した。



