毛布を取りに行くために、
 千柳様に背を向けた。


 その瞬間。



 手首を優しく包まれ。


 ドクン。


 心臓が飛び出しそうなくらい
 跳ねたのが、自分でもわかる。





「雪那、『おはよう』は?」



 ゆっくり振り向くと

 作業台に顔をうずめたままの千柳様が

 優しく瞳を揺らして、私を見上げていた。