「千柳様って、発想が可愛い」
「可愛くない!おかしい!
20歳とは思えないほど、常識なさ過ぎなの!」
怒りを浴びせるように、
私に迫ってきた天音君。
でも、何かにハッとした様子で、
急に眉と肩を下げた。
「僕が今言ったこと、全部忘れて」
え?
あんなに強く、訴えていたのに?
「早起きして卵焼きを作ったことも。
卵かき混ぜ以外は、僕が作ったことも。
せっちゃんは知らないことにして」
ほとんど、天音君が作ってくれたんだね。
でも、どうしてそんな優しいことを言うの?
「千柳さんはサプライズで……
卵焼きを、せっちゃんに
作りたかったんだと思うから……」



