「卵割ってって僕が頼んだら、 包丁を頭の上に、振り上げたんだよ!」 「さすが千柳様。子供の頃から、 殺陣(たて)を習っていらっしゃるから」 「せっちゃん、 感心するとこじゃないでしょ!」 ふぇ? 「あのまま卵に包丁を振り下ろしていたら 千柳さんを正座させて。 ニワトリに『ごめんなさい』って 言わせてたからね。僕は」 「相変わらず、天音君は千柳様に厳しいね」と 苦笑いをした私に 「そりゃ、厳しくもなるよ!」と 天音君は語気を強めた。