「千柳さんは、卵をかき混ぜる係で」


「それだけ?」


「せっちゃんへの愛情を注入する、
 すっごく重要な工程なの!」



「どれくらい混ぜればいいの?」


「混ぜれば混ぜるほど、
 せっちゃんの笑顔が見られるから!」



 僕が菜箸を渡すと、
 千柳さんは嬉しそうに
 卵をかき混ぜ始めた。




 は~。
 これで静かになった~。


 僕が野菜を切って。炒め終わるまで、
 ずっと混ぜ続けてくださいね。



 千柳さんが静かだと、
 こんなに作業がはかどるんだぁ。