「千柳さん。
今朝は、コーヒー禁止」
「雪那なら、
笑顔でコーヒーをいれてくれるよ」
「じゃあ朝ごはんも、
せっちゃんと一緒に作って!」
あきれ顔でキッチンを出て行こうとする
僕の足に
「天音~ 見捨てないで~」
千柳さんが、しがみついてきた。
なにこれ、マンガ?
それとも、コント?
大企業の次期社長が、
こんな情けなくて大丈夫?
氷牙さんに
『倒産が目に見えてるから、
千柳さんの秘書なんてやめて転職したら?』
って、すすめた方が良いかも……
「コーヒーはいらないから。
天音、一緒に豪華な朝ごはん作ろ」
俺の足にしがみついて、ニコって。
幼稚園児より
愛くるしい笑顔攻撃はやめて。
許してあげよっかなって気に
なっちゃうから。



