「雪那……」
「はい……」
「俺は雪那の夢を
一番近くで
一生、応援し続けるからね」
緊張する私の背中を、押すように。
もう一度、
私の手の甲に、キスを落とした千柳様に
「頑張ってきます」
微笑みを返した私。
頂いた指輪を、
お守り代わりに優しくこすり。
台本を胸に抱え。
深く、深く深呼吸。
千柳様に
最大級の笑顔を向け、テントを抜け出し。
『みなさん~ こんにちは~』
ステージ前の広場にも
吹き抜けの2階3階にも集まっている
多くの親子の前に
台本を振り上げながら、飛び出した。
『蜜甘同居 こじらせ中 短編集』
☆完結☆



