千柳様の右手が、 私の右手を優しく包み 「雪那に、もう一つ。 勇気が出る魔法を、かけてあげる」 真剣な顔で、 千柳様は片ひざをついた。 千柳様の柔らかい唇が、 私の手の甲に押し当てられ。 まるで おとぎ話に出てくる、 プロポーズのワンシーンのよう。 手から艶っぽい温もりが消え。 千柳さまが、私を見上げた。 どのおとぎ話の王子様よりも 千柳様の方がカッコよくて。 気品が溢れる笑顔に 私の心臓が波打って、うるさくて。 苦しいほど。