「雪那、緊張はほぐれたかな?」
ん?
……
……
ひゃぁ~~!!
幸せに溺れていて、
すっかり忘れていました。
今から私、ステージに立たなきゃ
いけないんでした!!
ハッと現実に戻り。
雪崩のように襲ってきた緊張感。
ごまかそうと、
頬を両手でペチペチ叩いても。
緊張は積もっていくばかり。
「もう、雪那ったら。
可愛い顔を
ペチペチ痛めつけたらダメでしょ」
「だって……もうすぐ出番で……」
「雪那だけの王子様が、
笑顔になれる魔法をかけてあげる」
「手を出して」と、お願いされ。
恐る恐る差し出した、右手。
薬指にするするっと。
ピンクシルバーの指輪が
おさまっていく。



