「綺月君って、頑固だし。
こうしたら?って、優しく教えても、
聞き入れないタイプでしょ?」
「ま。あながち間違ってねぇけど」
「綺月君の意識改善には、
強めの毒を注入するくらいが
ちょうどいいの」
「天音のいじりは、毒性強すぎだし」
解毒剤でも
心のダメージが回復できないくらいな。
「でも綺月君。僕に感謝でしょ?」
「は?」
「心美ちゃんが綺月君に『好き』って
言えるようになったのは、
僕の努力のたまものでしょ?」
女と間違うくらいの美顔で、
どや顔を貼り付けた天音の胸に
「すっげー感謝してるよ」と、
軽くげんこつを当てた俺。
天音は満足そうな顔で、
今度は、心美の前に立った。



