靴のかかとを踏んだまま、
唇を噛みしめる俺を、無視するかのように
天音はさらに、心美に顔を近づけた。
「心美ちゃんは、僕の幼なじみだよね?」
「……うん」
「僕の精神安定剤だよね?」
「……そうだよ」と、オロオロ頷いた心美。
「じゃあ、
心美ちゃんの手を握ってもいい?」
なんだよ、それ!!
心美は、俺の彼女で。
俺だけのもので。
壁ドンまでは、何とか許せたけど。
心美に触れることは、
さすがに耐えられないっつうの!
『天音、おまえな!』
と、俺が怒鳴ろうとした時。
心美が俺の胸に飛び込んできて。
「綺月君……大好き」
俺の背中に、手を回してきた。



