☆綺月side☆



 ファンに見つからないように。

 マネージャーのマンションを、
 時間差で出た俺と心美。
 


 心美はいつものように、
 屋敷の裏の垣根の隙間から。


 俺は、堂々と屋敷の門を通り抜けて
 別々に、千柳の屋敷に戻ってみたけれど。


 玄関で俺を待っていたのは

 仁王立ちで腕を組み。
 悪魔色に、瞳を濁らせている天音。



 ドアが閉まるなり、
 文句のシャワーが降りかかってきた。



「心美ちゃんと、
 よりを戻したんだって?」


「……ああ」


 天音に、リビングから出てくるなって、
 釘を刺されてるんだろうな。


 心配そうに顔を歪める心美が、
 リビングのドアから、こちらを伺っている。