「綺月君。この人が、
 蓮見さんの彼氏さんなんでしょ?
 初めてこの部屋に案内された時、
 私に教えてくれたんだよ」


「この棚なんて、彼氏のグッズだらけだし。
 机の上、彼氏の写真ばっかって……」


「マネージャーって、
 恋に淡白な冷血女かと思ってたのに。
 彼氏にべタぼれじゃん」

 と、あきれ声を追加した綺月君。



 私は、綺月君の制服の裾を引っ張り。

 自信なさげに、声を震わせた。



「私も……こんな部屋が欲しい……」


「何?
 心美もアミュレットのマトイ沼に、
 はまっちゃったわけ?」


「ちっ…違うよ。綺月君のだよ」


「は?」



 蓮見さんの宝部屋で
 幻滅している綺月君に

 こんなことを言って、嫌われないかな?



「私の部屋も……
 綺月君で……いっぱいにしたい……」



「…………へ?」


「学校やライブで……
 女の子たちに囲まれている
 綺月君を見てると……
 私も……嫉妬しちゃうから……」