☆心美side☆


 多分これは、夢なんだと思う。


 ゾルックのマネージャー、
 蓮見さんの部屋のベッドの上。



 ふわふわした意識の中

 私の瞳には、
 絶対にいるはずのない人が
 映り込んでいる。



 ベッドに腰かける綺月君の手が、
 私の額を包んでくれていて。

 ひんやりと気持ちいい。




「……綺月君?」


「すごい熱だな。薬は飲んだ?」




 やっぱり夢なんだ。


 だって綺月君が私に

 お月様みたいに
 柔らかく微笑んでくれているから。