腕時計越しなのに。

 雪那が照れているのがわかるような、
 ドキドキ声。


 
 その声に
 雪那LOVEの俺の心臓が、
 まともなはずもなく。

 肌を突き破る勢いで
 バコバコ飛び跳ねだした。




 かわいい!!
 雪那、可愛すぎ!!


 
 ねぇ、雪那。わかってる?


 声だけで、俺の心が
 雪那に奪われちゃったんだよ。

 どれだけ俺の心臓を乱れさせれば、
 気が済むの?




 好き。本当に好き。

 今すぐ婚姻届けを
 出しに行きたいくらい好き!





「雪那、今夜覚悟してて」


『な……何をですか??』


「雪那のお部屋で、
 たくさん可愛がってあげるから」


『私が卒業するまで……
 何もしないって……』


「俺が手を出さなくても、
 雪那をかわいがる方法は、たくさんあるからね」


「千柳様のこと……10時に……
 お部屋で待っています……」



 恥じらいを込めた雪那の声が
 耳に心地よく響いたままの状態で、
 俺は通話を切った。