「学校でも、綺月君は心美ちゃんに
 話しかけないでね」



 天音は、俺に王子様ウインクを飛ばし。



「ほら、握手会行くよ」

 俺の背中を思いっきり叩いて。

 
 束縛男を見限るように

 スポットライトの世界に
 飛び出して行った。
 



 暗いステージ袖に立ちつくす
 俺はというと……



 自分の失った宝物の大きさに

 ただただ
 絶望することしかできなかった。