胸に当たる十字架が、 俺の心を痛めつける。 バラのつるが、俺の心臓に巻き付いて。 鋭いトゲから、痛みの毒が注入され。 ゆっくり、ゆっくりと 後悔という毒沼に 引きずりこまれていく。 嫉妬の怒りで、心美を傷つける前まで 時間を戻せたらいいのに。 俺らしくもない、情けない願望に 押しつぶされそうになっていた時。 「綺月君、 千柳さんのお屋敷に戻ってきなよ」 天音が、俺の懺悔(ざんげ)を許す 天使のような声を奏で、微笑んだ。