蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集



「綺月君と心美ちゃんは、別れて正解!」


「なっ……」


「心美ちゃんも、綺月君に嫌われたくなくて、
 自分の意見を押し込めちゃうし。
 このまま付き合っていても、
 ダメになるのは時間の問題だったしね」




 俺を諭すように
 天使のような柔らかい笑顔を保っていた天音。



 いきなり、瞳をゾンビ色に染め。

 悪魔顔で声を荒らげた。



「心美ちゃんに『消えて!』って言ったんだから、
 綺月君はもう、心美ちゃんに関わらないで!」




 ……

 ……


「心美が傷ついたら……
 誰が慰めるんだよ……」


「僕も、せっちゃんも、
 優梨愛ちゃんもいるから大丈夫」




 あっ、そっか。

 俺なんかがいなくても、
 心美には
 癒してくれる奴らが、いるんだっけ。



 その現実を受け入れた瞬間。

 俺の心がバキバキと、割れ始め。


 割れた心の隙間に
 悲しみが流れ込んできた。