「雪那……あの……」


『千柳様……
 ライブ……お疲れさまでした……』



 俺の声もたどたどしい。

 でも雪那の声は、もっとたどたどしい。



「俺さ……
 ライブで何かしちゃった?」


『えっ?』


「だってほら……
 握手会の時の雪那が……
 そっけなかったから……」




 勇気を出して聞いてみたけれど、
 返事を聞くのが、怖すぎる。



 だってライブの時の俺は。

 雪那と結ばれた嬉しさで
 ステップを間違えた。



 でもそれは
 誤魔化しがきくレベルで。



 無表情で歌う曲なのに、
 ところどころ、ニヤケちゃったり。


 ダンスの最後の立ち位置で、
 センターの綺月のポジションを
 奪い取っちゃったり。


 自分でもそれはダメでしょ!ってことを、
 やらかしずぎちゃったから。