「綺月君は……私と別れたい……?」


「別れたいのは
 心美の方なんじゃねぇの?」


「そんなこと……」


「俺なんかより、
 オマエが男と話しても何も言わない、
 心が広い奴と付き合えよ」



 私は、綺月君と別れたくなんかないよ。


 でも綺月君は、
 私のことを嫌いになったってことだよね?




「心美、早く消えてくれない?」



 私の心の問いに答えるかのように、
 綺月君の冷たい声が、耳に刺さって。



「もう、俺に笑いかけるなよ!」


 
 彼女の立場をはぎ取られるように

 私は、綺月君の部屋から追い出された。